巨人Intelに挑め! - 1GHzを突破せよ (2) 「どうしてお前の発想はそう日本的なんだ?!」
Benは当時の私の上司であり、AMDの創業時代からJerry SandersとともにAMDを支えてきた大番頭のような人物であった。
「Ben、新プロセッサの開発はうまくいっているかい?あのIntelがよくPentiumIIのバス(バスはもともとPentium Pro用に開発された)をライセンスしたものだね」と聞いたら、Benは「ライセンスはもちろんない」と答える。私が、「そうか、それならまた新たな法廷闘争になるんだね?」と聞いたら、Benは「もう、法律でもめるのには飽き飽きした、その心配はない。今度のプロセッサは独自のバスアーキテクチャだから」とさらりと言っている。
私には、俄かにはその意味が呑み込めず、「独自のバスなんて言っても、マザーボードがないじゃないか」と言うと、またBenが「マザーボードは独自で行く、既に台湾のボードメーカーと話がついている」と言う。そこで私は「Intel互換じゃないわけ?そんなのできるわけがない。新しいインフラをまっさらなところから作るなんて無茶だ!!」と言ったら、Benが最後に「どうしてお前の発想はそう日本的なんだ?! 全く新しい技術で戦わなくて、どうやってIntelを超えるんだ?!AMDはIntelの後追いでいく限り発展はない、これからは独自路線の技術で勝負するんだ。