新宿梁山泊第73回公演『奇妙な果実~マルコムXと金嬉老~』が2022年12月15日 (木) ~2022年12月21日 (水)にシアター・アルファ東京(東京都渋谷区東3-24-7B1F)にて上演されます。チケットはカンフェティ(運営:ロングランプランニング株式会社、東京都新宿区、代表取締役:榑松 大剛)にて11月15日(火)12:00より発売開始です。カンフェティにて11月15日(火)12:00よりチケット発売開始 公式ホームページ Twitter(@SRyozanpaku) 金守珍×趙博のタッグ5回目となる最新作『奇妙な果実~マルコムXと金嬉老~』。新宿梁山泊が取り組んでいるテーマの1つ「境界に生きる人々」を描いた書き下ろし作品。日本でもアメリカでもRacism(人種・民族差別)の波が、今再び社会全体を覆う時代となった。マルコムXと金嬉老はかつて実在した人物であり、前者は黒人解放の指導者、後者は非道の犯罪者という全く異なった人生を歩んだ二人である。しかし生きた国は違えど、両者とも厳しい差別の中を生き抜いた激しい気性を持った人物だった。本作品は、異なる環境に生きた二人は命をかけて、何を成し遂げようとしたのか――。両者の「現実」に「架空の史実」を加えることでストーリーに奥行きを持たせ、さらに歌舞音曲をふんだんに織り込み、エンターテインメントに仕上げた。人種平等と社会正義を求める全ての人々に向けての「今をともに生きる」メッセージを唱えたい。新宿梁山泊87年、金守珍を代表として旗揚げ。日常の世界から脱却し、夢と希望とロマンを観客と共に追い求める舞台空間を目指し、またアンダーグラウンド(アングラ)演劇を「日本の現代を代表する特異な文化」として次世代、また世界へ発信すべく活動を続けている。毎年、花園神社境内で唐十郎作品のテント興行を行い、テント演劇ならではの特殊な演出で、エネルギッシュかつスペクタクルあふれる作品を生み出している。21年、風間杜夫を主演に迎えた唐十郎の代表作『ベンガルの虎』では水をふんだんに使い、テント外の景色を取り込んだ演出と、観客を驚嘆させる大屋台崩しのある舞台装置で、テント演劇の王道を披露し話題となった。代表:金守珍(きむ すじん)1954年生。東京都出身。東海大学電子工学部卒業。蜷川スタジオを経て、唐十郎主宰「状況劇場」で役者として活躍。 蜷川と唐という「アングラ小劇場」の代表とも言うべき演出家から直接に指導を受けた。その後、新宿梁山泊を創立。 旗揚げより新宿梁山泊公演の演出を手掛け、テント空間、劇場空間を存分に使うダイナミックな演出力が認められている。’97年にはオーストラリアの国立演劇学校から「特別講師」として招かれ、世界に通用する演出家と評判を呼んだ。’99年にはニューヨークで「少女都市からの呼び声」を公演。その後、コロンビア大学にて特別講師として、清水邦夫作「楽屋」を演出。また、演出以外にも広く劇術活動を行い、 外部公演への出演、NHKドラマ、CM出演等、役者としても広く活躍している。’01年日韓合作映画「夜を賭けて」にて初監督。’02年11月、東京武蔵野館を皮切りに全国公開され、第57回毎日映画コンクールスポニチグランプリ新人監督賞、2002年度第43回日本映画監督協会新人賞を受賞した。公演概要新宿梁山泊第73回公演『奇妙な果実~マルコムXと金嬉老~』公演期間:2022年12月15日 (木) ~2022年12月21日 (水)会場:シアター・アルファ東京(東京都渋谷区東3-24-7B1F)作:趙博/演出:金守珍■出演者金守珍、趙博、大久保鷹、崔哲浩、有希九美、島本和人、藤田佳昭、ジャン裕一、今川宇宙、井上一馬、二條正士、諸治蘭、本間美彩、三輪桂古、田中周平、荒澤守、望月麻里、芳田遥■スタッフ照明: 宮崎絵美子+ライズ舞台美術:大塚聡+百八竜舞台監督:竹原孝文音響:大貫誉稽古場音響:島本和人振付:大川妙子殺陣:佐藤正行衣装:ASUKA宣伝デザイン:福田真一製作・主催 一般社団法人新宿梁山泊協力:(有)ライズ、大塚聡アトリエ、エスエープランニング、USC、JSK■公演スケジュール15日(木) 19:00アフタートーク金守珍×趙博×崔哲浩16日(金) 14:00アフタートーク金守珍×趙博×大久保鷹17日(土) 14:00アフタートーク金守珍×趙博×太田昌国18日(日) 14:0019日(月) 19:00アフタートーク金守珍×趙博×崔善愛20日(火) 14:00アフタートーク金守珍×趙博×中川五郎21日(水) 14:00アフタートーク金守珍×趙博×足立正生※受付は開演の45分前。開場は開演の30分前■チケット料金一般指定席前売:4,500円、当日:5,000円U25前売・当日共通:2,500円(限定席)(全席指定・税込) 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年11月15日新宿梁山泊の第70回公演『ベンガルの虎』が6月12日(土)より東京・新宿の花園神社特設紫テントにて開幕する。本作は1973年に初演された唐十郎の代表作のひとつで、新宿梁山泊は2009年に井の頭恩賜公園西園特設紫テントで初めて上演。“唐十郎という劇作家の成熟の頂点をなす作品”とも言われるこの作品の3度目の上演に挑む。物語のベースにあるのは、市川崑監督による映画でも知られる名作『ビルマの竪琴』。主人公・水島上等兵は、戦死者の霊を弔うために故国へ帰ることを頑として拒否したはずだが、実は日本に帰っていて、戦死者の遺骨で大量のハンコをつくっているという皮肉な設定ではじまる。水島と結婚の約束をした女・カンナは、その証に預かったハンコを手に東京の下町に彼を探しにやってくる。そこで、かつての水島の上官であった俗物隊長と、その部下である腹心と片腕がハンコ屋を営んでいた。水島の行方を探すカンナは、流しの兄弟、左近と右近に痛めつけられている新米流しの少年・銀次を助ける。銀次は、カンナに翻弄されながら道連れとなっていく……。主演は風間杜夫。一人芝居やミュージカル、落語と多彩に活動する風間だが、テント芝居への出演は今回が初めてだ。テントの中で展開する壮大でロマンチックな世界で、風間がどのような表情を見せてくれるのか楽しみ。そして演出の金守珍(きむ・すじん)は、これまで唐作品を独特の演出で現代に発表してきたが、今作では生の世界と死の世界、明治と現代、東京と東南アジアを自在に飛び越えていく空間で、鮮やかにイメージが繋がっていく新演出を見せるという。風間、金のほか、渡会久美子、松田洋治、水嶋カンナらも出演。パワフルでスペクタクル、そして叙情。人々の中で眠っている普遍的なロマンを呼び起こそうとする新宿梁山泊のテント芝居は、日常では味わうことのない刺激が散りばめられている。その場所の空気や音をすべて取り込んだ非日常空間で名作に浸ってほしい。文:伊藤由紀子新宿梁山泊第70回公演『ベンガルの虎』作:唐十郎演出:金守珍出演:風間杜夫、金守珍、渡会久美子、松田洋治、水嶋カンナ、島本和人、宮原奨伍、八代定治、藤田佳昭、奥山ばらば、のぐち和美、えびねひさよ、清水美帆子、平山もとかず、松永健資、二條正士、中嶋海央、紅日毬子、染谷知里、諸治蘭、本間美彩、中井健勇、山崎雄介、池田竜渦爾、浅尾啓史、柴野航輝、田中周平、河西茉祐、山田のぞみ、佐野実紀※山崎雄介の崎は立つ崎が正式表記2021年6月12日(土)~6月23日(水)会場:東京・新宿 花園神社場内 特設紫テント
2021年06月12日役者・演出家の金守珍(きむ・すじん)を中心に、1987年から活動する劇団「新宿梁山泊」の意欲作『唐版犬狼都市』が11月14日(土)に開幕する。日本の演劇界に失われつつある「物語(ロマン)の復権」を目指す彼ら。その劇世界は実に圧倒的で、観客はしばし別世界に飲み込まれる。今回、その没入感の一翼を担うのは「テント」である。公演期間だけ突如現れるテントの中で、夜な夜な繰り広げられる濃密な物語。芝居は、テントに足を踏み入れる瞬間から、すでに始まっている。今回、彼らが根城とする「紫テント」が立てられるのは、再開発が盛んな「下北沢線路街」だ。選ばれた作品は、1979年に状況劇場が初演した『唐版犬狼都市』。かつて演劇界を席巻した「アングラ演劇」の熱い息吹を、令和の現代に引き継ごうとする高い志が透けて見える。東京都大田区の地下にある、「犬田区」という幻想都市。大田区と、「しゃべる犬」がいる地下の犬田区は、地下鉄の暗い空洞を通して自在に行き来できるという。地下鉄工事で行方不明になった「あの人」の遺体をさがすメッキーという女は、背中に形見のような「ヒモでくくりつけられた爪跡のあるコンクリのかたまり」、地下鉄の枕石を背負っている。メッキーは、臆病で人のいい保健所員の田口呆と出会い、ふたりして犬田区を目指し旅立つ——。もちろんこのご時世、かつてのように、テント内に観客をぎゅうぎゅうに詰め込むことはできない。座席数を半数に減らしたテントの中で、彼らの演劇がどんなふうに響くのか。あらゆる意味で演劇史に刻まれるであろうこの困難に、新宿梁山泊は磨き抜かれた力技で挑もうとしている。公演は22日(日)まで、下北沢特設紫テントにて。文:小川志津子新宿梁山泊第69回公演本多劇場グループテント企画2020新宿梁山泊『唐版 犬狼都市』作:唐十郎演出:金守珍2020年11月14日(土)~2020年11月22日(日)会場:東京・下北沢 特設紫テント(下北線路街 空き地)
2020年11月14日『孤狼の血』『止められるか、俺たちを』など注目作を次々に手がける白石和彌監督の最新作『ひとよ』が、11月8日(金)より公開される。本作は『凶悪』『サニー/32』に続いて高橋泉が脚本を手がけており、これまで白石監督が描いてきたコミュニティのかたちや人との向き合い方を引き継ぎながら“血のつながった”人々のドラマを精緻に描き出している。若松プロで育った白石監督は、さまざまな個性や主張、野心、欠点を持つ者たちが集う“梁山泊的なコミュニティ”を繰り返し描いてきた。人はそれを“疑似家族”と称することもあるが、白石監督は「結果として疑似家族になっちゃった感じです」と笑う。しかし、本作『ひとよ』は自分から“家族”という題材に引き寄せられていった。「これまでちゃんとした血族は描いてこなかったので、新しいチャレンジになると思いましたし、この題材が自分を引き上げてくれるんじゃないかという期待はありましたね」物語の舞台は地方にあるタクシーの営業所。15年前、子を守るために母・こはるは暴力的な夫を殺して服役。残された3人の子供たちは母と音信不通のまま成長した。現在、長男は地元の電気店で、次男は東京でフリーライターとして、末の娘はスナックで働き、タクシー会社は親族とその仲間が引き継いでいる。そんなある日、母・こはるが予告なく帰宅する。母は子を守るために殺した。しかし、そのことで兄妹の人生は決定的に変わってしまった。母と3兄妹、そしてタクシー営業所で働く者たちの再会のドラマが描かれる。本作の原作は劇作家・桑原裕子が書いた同名戯曲で、白石監督は「家族を描きながらクライムムービーでもあるし、加害者と被害者が混同している状況で、お互いを許し合うことができるのか?という複雑な感じがユニークだと思った」と振り返る。本作は15年ぶりに帰宅した母と3兄弟を主軸に物語を描くため“疑似家族を描いてきた白石監督が、血のつながった家族を描いた”と思われがちだが、本作はそんなに単純なものではない。「この映画は家族を描いているのと同時に、タクシー会社という擬似家族を描いてもいるんですよね(笑)。そっちの方が和気あいあいといい感じに見えたりもするんです。それはすごく計算して描きました」母と3兄妹は、血のつながっていないタクシー会社の人々に囲まれて暮らしており、家族とうまく向き合えない苦しさを彼らに打ち明けたり、ぶつけることで解消しようとする。「それは脚本の段階からすごく自覚的でした。家族がぎこちないほど、相談する相手は家族ではないと思いますし」。血のつながっていない他人だから助けられることもある。何でもない相手だから心の奥が打ち明けられる。白石作品がこれまで繰り返し描いてきた状況がここでも描かれる。しかし、白石監督は「でも結局は、この家族は肝心なところでぶつかってないと思った」という。「だから、ぶつかるところからでないと物事が進まない気がすごいしたんですよ。誰かが悪いことをしたとしても、誰がやったのかちゃんと顔が見えて、その理由がわかれば、安心とは少し違うのかもしれないですけど“多少のことはお前の気持ちもわかるぜ”って感じになりますよね」。その根底には、人間が面と向かってぶつかっていないのではないかという危機感があるようだ。「目の前の人の意見よりもネットの炎上を信じたりとか……この問題は『サニー/32』で決着をつけたつもりではいたんですけど、ついてまわるものなんでしょうね。逆にいうと僕自身がネットの言葉だったり炎上に囚われつつあるのかもしれないですし……だからやっぱり人間が“衝突”する瞬間が観たいんでしょうね」だからこそ『ひとよ』は、血のつながった者たちが、血の関係はなくても同じ空間にいる者たちが、お互いを“許し合う”わけでも、何かを“解決する”わけでもなく、衝突し、クラッシュしながら相手を“受け入れる”ドラマが描かれる。それは複雑な状況だ。どちらかが勝ってスッキリするような話ではない。白石監督はその複雑さを“縮減”することなく俳優の演技を丁寧にすくい取ることで描いている。「この映画は家族の話で、自分にも家族がいて記憶や体験が自分に近いところにあるからでしょうね。ヤクザの話が得意とはいえ、実際にカチコミとか見たことないじゃないですか(笑)。そこは人の話だったり想像が占める割合が大きいんですけど、母ちゃんと話すとか、家族で食卓を囲むとかは自分も経験しているのでより具現化して作りやすかったんです。だから細かく決めて撮っていったわけじゃないんですけど、家族の距離感だったり、空気感、所作というかちょっとした動き……そういうものは気をつけて撮っていきましたし、僕の手が届いていなくて結果的にそうなっている部分もあるとは思うんですけど、ポイントになるシーンは割と細かく演出したかもしれません」白石監督はこれまでの作品で描いてきた非血縁的なコミュニティ=疑似家族の魅力を切り捨てることなく、血のつながった家族の魅力や苦しさを描こうとしている。「疑似家族って“有償の愛”なんですよね。それぞれが何かしら得をするから成立している。でも家族は得しなくても“無償の愛”を与えたいってことですよね。今の世の中だと育児放棄してしまう人とかいるので一概には言えないですけど、僕に娘ができたときに一番思ったのは、現実的には与えられないんですけど“無償の愛”を与えたいってことでした。ちょっと自分で言ってて恥ずかしいですけど(笑)。でも、それは結果として、この映画みたいに子どもの“重し”になるかもしれない。そこが家族の面倒なところで、信頼関係がなくてもそのコミュニティを壊しきれないところが苦しい。もちろん、それが子供にとって力になることもあるだろうし……」白石監督が考えては語り、語ってはまた考えるように『ひとよ』は家族の複雑さを単純化することなく描いている。人を見つめる眼差しや、善悪に対する判断、根底にある愛情はこれまでの白石作品とブレがないが、その表現の繊細さは新機軸を思わせる。「それはやっぱり映画の題材が“家族”だからでしょうね。この映画で自分の新しい扉が開いていたらいいな……と思っています(笑)」『ひとよ』11月8日(金)全国ロードショー
2019年11月07日島津製作所は4月20日、大阪大学(阪大)と共同で代謝物の網羅的解析手法「メタボロミクス」の分析技術の確立・発展とアプリケーション開発を目的とした共同研究講座「大阪大学・島津分析イノベーション共同研究講座」を阪大大学院工学研究科に設置したと発表した。メタボロミクスは、生体内の代謝産物を網羅的に検出・解析し、その挙動を精密に捉えることによって細胞の生命活動を包括的に調べる最先端技術の1つで、同講座のメンター教員を務める阪大 大学院工学研究科 生命先端工学専攻の福崎英一郎 教授はその解析手法の開発および応用の第1人者。同氏は講座開設にあたって、「目的やニーズがはっきりしている研究は、それに対応した機材を購入し活用すれば済む。本講座は潜在化したニーズを掘り起こすために必要なもので、ハードウェアだけでなく、ソフトウェアも含めたトータルソリューションを実現することを目的に実施される」と、その意義を説明。また、「巧遅拙速という言葉があるが、とにかく何かを70%の完成度であってもやってみる、というスピードが重要」とし、企業と大学が一緒に行うことで、そうした速度を実現できるとした。さらに、「メタボロミクスは新鋭技術であり、その有用性を試すために色々なことを行っている。医者や製薬企業、食品、バイオなど、手段の有用性の検証を行うために、目的を選んでいない。本講座も、ほかの大学でも企業でも、真にこの技術を欲している第3者が入ってくることを大いに歓迎する」とし、幅広い共同連携による潜在的なニーズの掘り起こしを速やかに実現していくことを強調したほか、「大阪から世界へ」を標榜し、海外からも研究者、企業、教育関係者など幅広く参加を募り、世界的な「メタボロミクスの梁山泊」を目指したいとした。一方、同講座の招へい教授となる島津製作所 分析計測事業部ライフサイエンス事業統括部の飯田順子氏は、「ミッションは、"技術の1つであるメタボロミクスの発展"と"質量分析計を用いた解析プラットフォームの研究開発"」とし、阪大の複数の研究者が参加するほか、島津製作所からもプロジェクトごとに研究員が参加していくことを説明。両者の技術を融合させることで、メタボロミクスの課題解決に取り組んでいくとした。阪大では、同講座用に前処理用の実験室と実際に分析を行う実験室などを設置。分析機器としては、島津製作所のガスクロマトグラフ質量分析計が3台、液体クロマトグラフ質量分析計が3台、超臨界流体クロマトグラフ質量分析計が1台すでに設置されているほか、2015年6月にはイメージング質量顕微鏡も設置される予定だという。なお、同講座は第1期という扱いで、2014年12月1日より2017年3月31日(2016年度末)までの期間、開設される予定だが、福崎氏は「成功裏に3年迎えて更新されることを両者ともに革新している」とコメントしており、長期的な研究につながるとの期待を示した。また、同講座では定期的に前処理器具と質量分析計を用いたメタボロミクスの講習会などを実施するなど、多くの人や企業に興味を持ってもらい、技術の活用に向けたオープンな取り組みも推進していくとしている。
2015年04月22日○互換プロセッサ乱立時代PCがエレクトロニクス業界の中心になり爆発的成長を始めると(この2~3年のスマホですね)、その中心ハードウェアであるCPU市場には一気にいろいろなプレーヤーが参入してきた。しかしながら、Intel互換プロセッサの盛んだった時期は比較的短かった。というのも、技術的にも加速していくプロセッサ開発に加えて、IntelのIP(知的所有権)を侵さずに完全互換を実現することは至難の業であった。また、プロセッサのクロックスピードがそのままアプリケーションの実行速度にダイレクトに効いてくる状況だったので、Intelは一気にそのマーケティングを周波数競争に持ち込んだ。その優劣を決めるのが半導体の微細加工技術である(今では12nmなどのレベルに達しているが、その当時は数百nmの世界だった…)。その当時は半導体ファウンドリ―などというコンセプトはなく、それぞれのメーカーが自前のプロセス、設備に投資競争をしていた時代だった。これがべらぼうにコストがかかる。そういった状況で、多いときには5社を数えたプレーヤーは次々と脱落していった。最初の製品は出るのだが後継製品を開発する資金が続かないからだ。その間独占体制を整えつつあったIntelは80286の次は80386、そしてその後継の80486を開発するなど、矢継ぎ早に性能を向上していった。その中で、当時AMDには以前からIntelとの協業時代からx86互換プロセッサに従事してきたエンジニアたち、Am386のリバースエンジニアリング(後で説明いたします)をリードしたBen Oliver、スーパースケーラー技術の大家Mike Johnsonらに加え、もとDEC(Digital Equipment Corp.)で業界初の64ビットチップAlphaの開発をリードしたDirk Meyer(後にAMDのCEOとなる)ら錚々たるメンバーが揃っていた。そこに、Fred Weber(NexGenの買収により合流)など、互換チップ開発の戦いに敗れ去ったチップメーカーからのエンジニアたちが続々とAMDに集結していた。皆、Intel打倒に燃える血気盛んな若いエンジニアたちであった。こうしたエンジニアたちが長年の夢をかなえるべくAMDに集結したのは当然のことであったろう。というのも、AMDは既に8年にわたるIntelとのIPに関する調停、法廷闘争の末に、少なくとも特許問題についてはIntelと和解が成立していた。ということは、特許などの法律問題に縛られることなく、革新的なアイディアでもって、技術的優位性を実現しIntelを打倒することを夢見ていたエンジニアにとって、AMDというのは理想的な開発Platformであり、唯一可能性を秘めた会社であったからである。しかも、創業者でありCEOのJerry SandersはIntelへの対抗心に燃えていた。捲土重来を期すエンジニアたちにとってAMDはまさに「マイクロプロセッサ界の梁山泊」だったのである。○AMDの野心的なプランその時、私は定期的なマーケティングのMeetingのためにカリフォルニアのシリコンバレーの中心にあるAMD本社にいた。 正確な時期はあまり問題ではない、その出張が今でも記憶の中で鮮明なのは、それが私がK7プロジェクトについて初めて知った時期であったからだ。多分、AMDがK7のマイクロアーキテクチャを公表した1998年の一年位前の話だと思う。私は社内の情報で、AMDのAustinでK6の次世代プロセッサ開発が進められていることを聞いていたので、USに出張の際に当時の私の上司であったMarketing VPのBen Anixterにそれとなく聞いてみた。Benは当時の私の上司であり、AMDの創業時代からJerry SandersとともにAMDを支えてきた大番頭のような人物であった。「Ben、新プロセッサの開発はうまくいっているかい?あのIntelがよくPentiumIIのバス(バスはもともとPentium Pro用に開発された)をライセンスしたものだね」と聞いたら、Benは「ライセンスはもちろんない」と答える。私が、「そうか、それならまた新たな法廷闘争になるんだね?」と聞いたら、Benは「もう、法律でもめるのには飽き飽きした、その心配はない。今度のプロセッサは独自のバスアーキテクチャだから」とさらりと言っている。私には、俄かにはその意味が呑み込めず、「独自のバスなんて言っても、マザーボードがないじゃないか」と言うと、またBenが「マザーボードは独自で行く、既に台湾のボードメーカーと話がついている」と言う。そこで私は「Intel互換じゃないわけ?そんなのできるわけがない。新しいインフラをまっさらなところから作るなんて無茶だ!!」と言ったら、Benが最後に「どうしてお前の発想はそう日本的なんだ?! 全く新しい技術で戦わなくて、どうやってIntelを超えるんだ?!AMDはIntelの後追いでいく限り発展はない、これからは独自路線の技術で勝負するんだ。面白いと思わないか?」。Benは私にウィンクして、言った。「そのドアを閉めなさい、AMDのBig Planを教えてやるから。」ほどなくして、私はK7の全容を知ることになったが、それは確かにその当時の私にとっては途方もなくBigなPlanであった…。(次回は3月16日に掲載予定です)著者プロフィール吉川明日論(よしかわあすろん)1956年生まれ。いくつかの仕事を経た後、1986年AMD(Advanced Micro Device)日本支社入社。マーケティング、営業の仕事を経験。AMDでの経験は24年。現在も半導体業界で勤務。
2015年03月09日11月6日(水)に発売される、中国ドラマ『水滸伝』のDVDセット第6巻に、漫画界の巨匠・横山光輝氏が手がけた『水滸伝』キャラクター集合イラストカードが特典として封入されることが決定した。その他の写真中国ドラマ『水滸伝』は、構想10年、総製作費55億円を投下し壮大なスケールで完全映像化された歴史スペクタクルドラマ。今から約1000年前の世の中を舞台に、さまざまな事情で世間からはじき出された108人の英傑たちが“梁山泊”と呼ばれる自然の要塞に集結し、汚職や不正がはびこる世の中を変えるために“悪徳官吏を打倒し国を救う”事を目指す姿が描かれる。『鉄人28号』『三国志』『魔法使いサリー』などで知られる横山光輝氏は、同時期に活動していた手塚治虫氏や石ノ森章太郎氏らと並び称される漫画界の巨匠のひとり。特典となる今回のイラストは、横山氏が手かげた漫画『水滸伝』にある既存の絵を使って特別に制作された貴重な作品となる。全86話からなる中国ドラマ『水滸伝』のDVDは、全7巻セットで順次リリースされており、本日発売されたDVDセット第5巻には、『魁!!男塾』の宮下あきら氏による完全描き下ろしイラスト・カードが封入されている。『水滸伝』DVD-SET6(6枚組):11月6日(水)発売価格:18900円(税込)特典:横山光輝『水滸伝』キャラクター集合カード『水滸伝』DVD-SET5(6枚組):10月4日(金)発売価格:18900円(税込)特典:宮下あきら描き下ろし『水滸伝』イラストカード発売元:ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント
2013年10月04日