キャリアななめ斬り! (50) 「常識破り」をするのに必要な心得
これは私自身が気をつけていることでもあるが、私が係るPRや宣伝の業界に限らず、特定の業界に長く携わっていると、自分たちの業界ではごく当たり前だとされている習慣や常識が一般的にもよく知られているものだと誤解している時がある。
○慣習の良い面と悪い面
PR担当者にとっては、ごく日常的に行われるプレスリリースや記者会見について例をあげるとする。これまでの経験上、だいたいどのくらいのニュース性があれば、だいたいどのような媒体が記者会見に集まり、だいたいどのくらいのメディア露出がなされるか、おおよその想定がつく。
当日から逆算して何日くらい前に準備を始め、どのくらいの規模の会場を押さえ、どういった媒体に一斉に声をかけ、どういった場合には個別に連絡をするべきか……等々、良くも悪くも事前に想像ができてしまう。この自分なりの「常識」「習慣」の延長上で物事を考えてしまう。例えば、今回は少しニュース性が弱いから早めにメディアに声をかけなければならないと考えたり、当日の「絵作り」の工夫をしないと地味な話題として他の話題性のあるニュースに埋もれてしまうと懸念したり……と先回りをして考えるクセがついている。
もっとも、こうした既存の常識や慣習についての知見を持つことには、良い面と悪い面の両面がある。