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OPPO「HA-2」はハイレゾ対応ポータブルアンプの本命か

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OPPO「HA-2」はハイレゾ対応ポータブルアンプの本命か
●音をスマートフォンに任せるか、ポタアンに任せるか
ふだん聴く曲をより高音質で楽しみたい、ヘッドホンを中心としたリスニングスタイルを充実させたい、というニーズは高い。その潮流がヘッドホン市場を急拡大させ、ポータブル機器のバリエーションを増やし、パーソナルオーディオ市場全体をけん引してきた。

今後、市場拡大の目玉となるのは「スマートフォン」だ。当初からポータブルオーディオとしての役割を与えられてはいたものの、多機能化と高性能化、小型軽量化に開発の重きが置かれてきたために、音のクオリティは後回しにされてきた感もあるが、ここ1年で潮目は変化した。ドコモの2014-2015冬春モデル全機種がハイレゾ再生に対応したことは、その一例といえるだろう。

しかし、「スマートフォンですべてを完結させる」には限界がある。容積や製造コストの関係で、オーディオ最優先の設計にすることが難しいからだ。トランスに高音質パーツを奢ったり、徹底したノイズ対策を施したりすることも可能だろうが、そうなればスマートフォンとしての競争力が低下してしまう。
だから、スマートフォンは送り出し側に徹し、音の出力はオーディオ機器としての品質を磨きに磨いたポータブルアンプ(ヘッドホンアンプ)に任せる、という考え方には説得力が出てくる。

今回取りあげる「HA-2」は、アメリカの新鋭オーディオメーカーOPPOが満を持して投入するポータブルヘッドホンアンプ/USB DAC。すでに同カテゴリの製品は数多く存在するが、HA-2が画期的な点は3つある。

1つめは、その機能的なデザイン。幅68×高さ157×厚さ12mmという薄型ボディは、高剛性アルミ合金製で質感高く、そこに高級手帳を想わせる本革製カバーが奢られる。デザインだけでなく、スマートフォンと重ねたときに傷つけないための配慮だ。

2つめは、音質を大きく左右するDACに最新の「Sabre32 Reference ES9018K2M」を搭載していること。多くのオーディオ機器に採用実績を持つESS Technology社の最新モバイル向けDACチップであり、最大384kHz/32bitのPCMデータおよびDSD256(11.2MHz)の再生に対応する。
ようやく据置型DACでのDSD再生が普及してきた状況であるにもかかわらず、このサイズ感にしていち早くDSD256対応を果たしたインパクトは大きい。そして3つめは、高性能補助バッテリーとして利用できること。3,000mAhのリチウムイオンポリマー電池を内蔵、OPPO独自のVOOC高速充電技術により、同梱の高速充電器を使えば約30分で容量の70%、約90分でフル充電することが可能だ。そのうえスマートフォンなどUSB機器への "おすそわけ充電" にも対応しているので、いざというときにはモバイルバッテリーとしての役割を果たす。この点からしても、スマートフォンとの相性は抜群だ。

●高性能DAC搭載、緻密な音世界をスマートフォンとの組み合わせで
HA-2の試聴はスマートフォン2台、iPhone 6およびXperia Z Ultra SOL24との組み合わせで行った。WindowsやMacと接続し、ポータブルUSB DACとして利用することもできるが、このデザインとサイズ感、そしてモバイルバッテリーとしての機能を考慮すれば、やはりスマートフォンとの組み合わせがHA-2の本領だと言える。なお、ヘッドホンには高い解像感と音場感が印象的な開放型「SHURE SRH1840」をチョイスした。


iPhone 6との接続には、HA-2に同梱されているUSB A-Lightningケーブルを利用する。既発売のLightning対応ヘッドホンアンプの多くは、Lightning経由でのハイレゾ出力には対応しないが(最大48kHz/16bit)、HA-2とiPhoneをこの短い付属ケーブルでつなぎ、「ONKYO HF Player」などのハイレゾ対応再生アプリを使えば384kHz/32bit PCMおよびDSD128(5.6MHz)を出力できる。嵩張るカメラコネクションキットは不要、取り回しのよさもポイントだ。

ハイレゾプレイヤーとしての使い勝手という点では、いまやAndroid端末もiPhoneに劣らない。Android版「ONKYO HF Player」が動作する端末であれば、付属のOTGケーブルでHA-2とつなぐだけで、ハイレゾ再生が可能になる。microSDカードを交換すれば容量を限りなく拡張できるだけに、ハイレゾプレイヤーとしてはむしろAndroid端末が有利だ。

○実際に聴いてみた音の表現は

音の傾向は、ひと言でいえば「緻密」。聴きはじめは分解能の高さに意識が向きがちだが、2曲目、3曲目と聴き進めるにつれ音の厚みや実像感に手応えを覚えるようになる。
解像感だけではなく、しっかり音が詰まった印象だ。利用したヘッドホンが開放型ということもあり、曲によっては低域のボディ感をあとひと声と感じた場面もあったが、クラシックギターの倍音成分は心地よく、微妙なニュアンスまで描き分ける。この緻密さは、DACチップ「Sabre32 Reference ES9018K2M」の貢献もあるだろうが、アナログアンプが持つ立ち上がり・立ち下りの鋭さが影響していそうだ。

低域のボディ感といえば、バスブースト機能について触れねばなるまい。側面にある「Bass+」スイッチを切り替えると有効になり、低域の量感を増してくれる機能だが、その音が "自然" なのだ。低域を持ち上げる機能であるだけに、当然ながらフラットさはなくなるが、それでいて中高域の質感は大きく変わらない。この点、ディスクリート回路で処理されていることが功を奏しているのだろう。

ところで、HA-2のヘッドホン出力は、左右チャンネルのグラウンド(GND)がアンプ回路からジャック部まで完全に分離されている。
OPPO PM-3など4極プラグのヘッドホンを利用すれば、この設計を生かすことができるのだ。今回の試聴では、あえて一般的な3極プラグのヘッドホンを選択しているが、チャンネルセパレーションが徹底された4極プラグヘッドホンのほうがより定位感や広い音場感を得られるはず。機会があれば、じっくり聴き直してみたい。

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