恋愛以前の男子たちへ (13) 満員電車のスポーツ新聞
矛盾という言葉がある。
どんな矛でも通さない、世界で一番強い盾がある。一方、どんな盾でも突き破る、世界で一番強い矛がある。さて、ではその世界一同士がぶつかりあったら……という逸話から来た言葉だ。
小学生の頃から、学校の先生に「自分に勝て」と言われ続けてきた。少しでも弱音をはくと、「そんな弱い自分じゃダメだ。自分に勝つもっと強い自分にならないと」と、自分を叱咤激励し鼓舞してきた。ほとんど強迫概念かのように、そう信じて頑張ってきた。
だが……疲れた。
そんな疲れたある日、ふと気がついたのだ。待てよ、自分に勝つ?それってもうひとりの自分が、忌むべき負けることに他ならないのではないか、と。逆説的にいうなら、あえて自分に負けてみる。するとどうだ! 必然的にもうひとりの自分が勝っているのだ。
すなわちどんな生き方をしたところで、自分にどんな勝負を挑んだところで、所詮自分が自分である限り、自分は自分に勝つのだし、それは自分が自分に負けることでもある。常に1勝1敗。どうあがいても勝ち越すことはないのである。
話はころりと変わるのだが、スポーツ新聞や週刊誌には、必ずHなページが設けられている。そしてスポーツ新聞や週刊誌は、通勤のよく混んだ電車の中で読まれるものと相場が決まっている。