3Dプリンタが改革する工芸の世界 - クリエイターの祭典「eAT KANAZAWA 2015」(3)
「DMMの3Dプリント事業参入で相場も非常に下がった」と非常に喜ぶ雪花のふたりだが、一方で小笠原氏も「実験的なパーツ発注ではなく、食器という実用的なプロダクトの発注がこんな高いレベルで来てくれるのは非常に嬉しい」とのこと。彼らとのやりとりはお互いに良い方向に作用しているようで、1カ月半足らずでプロトタイピングからプロダクトアウトまで仕上げてほしいとのクライアントの要望に応えられるのも、3Dプリントのおかげと話す。「単にうちのスタッフが徹夜して頑張っただけ」と小笠原氏は苦笑するが、小ロット生産を短期間で成し遂げられるのは3Dプリンタだからこそであり、雪花のふたりが氏の想定以上に速いペースで「3Dプリンタの実用性を急速に高めている」と評価している。
○3Dプリントの潮流の行く先は
さて、3Dプリントは、どこまで広がっていくのだろうか。原雄司氏はまず、素材よる進化を指摘した。従来はABSやPLAなどのいわゆるプラスチック系のフィラメント(材料)が主流だったが、カーボンやウッドチップなど新しい素材も急速に増えつつある。「銃器を作ることもそろそろ現実的になりますね」と原氏は冗談っぽく切り出すが、鉄や鋳物といった金属タイプのフィラメントも出てきている。