いたちごっこの危険ドラッグの流行と取り締まり - 危険ドラッグと戦うための強い味方「分析機器」の脅威の科学力とは
それは法をかいくぐるために少し改変した部分が予想もしていなかった強い毒性を持っていたり、後遺症を残す可能性があるからです。「毒性」とは飲んですぐ分かる「毒性」もあれば、繰り返し使用し数年後にやっと分かる毒性もあり、流通したての危険ドラッグの本当の毒性は誰も知らないのです。
また、これらは薬局で買える医薬品とは異なり、「いいかげん」に化学合成し作られていることが多く、多くの不純物を含んでおり、それらが毒性を持っている可能性もあります。危険ドラッグは従来の違法薬物に比べ利用者の健康を害する大きな危険性をはらんでいるのです。
○危険ドラッグを見分ける秘密兵器 - 質量分析計
危険ドラッグを取り締まるためには、分子構造の微妙に異なる薬物を見分けなければいけません。危険ドラッグの1つ1つの分子は重さでいうと分子量1000以下、これは大きさで言うと数十ナノメートル以下(髪の毛の太さの1万分の1以下)です。目には見えないこういった薬物を見分けるためには主に質量分析計(通称、MS)という分析機器が使われています。
質量分析計は薬物にレーザーや電気などを使ってエネルギーを与えた場合の飛び方を測定します。