2015年4月20日 15:31
水星の謎に挑む探査機「MMO」 - 灼熱の世界でも生き延びる仕組みとは?
が3回のフライバイ観測を実施しただけだった。
地球の隣にある金星や火星に比べ、これほどまでに探査の回数が少なかったのは、そもそも行くのが難しかったからだ。
地球の公転軌道から水星の公転軌道まで向かうためには、かなり大きな減速が必要。また、減速して近日点を下げ、それで水星軌道に到達したとして、そこから周回軌道に入るためには、ここでまた大きな減速が必要になる。都合の悪いことに、水星は小さいので重力が弱い。かなり減速しないと、周回せずに飛び出してしまう。
これほどの減速を行うためには、大量の燃料が必要になる。これが現実的な規模に収まらなかったことが、水星の周回探査が何十年も実施されてこなかった原因だ。
JAXAの早川基BepiColomboプロジェクトマネージャは「距離は近いがエネルギー的には遠い」と表現。水星周回に必要なエネルギーを外側に使えば「太陽系を脱出できるほど」だという。
ではどうしてこれが実現できたのかというと、惑星による減速スイングバイを上手く活用できるようになったからだ。MPO/MMOは打ち上げ後、地球で1回、金星で2回、水星で5回と合計8回ものスイングバイを実施。そのため約7年という長旅になってしまうが、現実的な燃料で、水星の周回軌道に辿り着けるようになった。