東京都・代官山に醸造所を併設する新グルメスポット「SVB東京」登場
しかも、キリンビールは新ブランドのために「スプリングバレーブルワリー株式会社」という新会社を立ち上げるほどの力の入れよう。その理由をキリン・CSV本部デジタルマーケティング室の丹羽靖彦氏は次のように語る。
「昨今、日本国内においてビール離れが進んでいます。特に若い人はビールだけではなく、アルコールそのものもあまり飲まなくなっている。1994年をピークにビール市場全体でだいたい20%ぐらい消費量が落ちているんです」
一方で、日本におけるグルメシーンでは近年、クラフトビールの人気が高まっている。クラフトビールとは、特定地域で限定量生産する小規模ビール会社による地域ブランドのビールで、いわゆる“地ビール”のこと。1994年4月の酒税法改正により、ビールの最低製造数量基準が2000klから60klに緩和されたことを受け、全国各地に広がった。しかし、今回のキリンビールの新ブランドの立ち上げは、そうしたブームに乗るというよりも、“ビールをもう一度復興させたい”という、日本にビール文化を根付かせる基礎を築いたメーカーとしての思いが強いようだ。
「ビールは大手メーカーによって効率のよく量産化できるようになり、価格も手頃になったことで、消費者の間に浸透させることには成功しましたが、どうしても工業的になりすぎてしまい、ビール本来のよさや個性が失われてしまった感も否めません。