くらし情報『テレビ・ワンシーン考現学 (2) 「悲しいニュース」への切り替えが上手くないキャスター』

テレビ・ワンシーン考現学 (2) 「悲しいニュース」への切り替えが上手くないキャスター

そんなことはない。むしろ、キャスターやアナウンサーほど、人間味が計測されやすいポジションもないだろう。彼らは、ニュースに合う表情を作る一方で、表情や感情が豊かであることが求められる。無理難題だ。

アナウンスに必要な発声法や正しい姿勢の作り方などを教えてくれるセミナーはあっても、「悲しいニュース」への切り替え方を教えてくれるセミナーはない。特に世間様から試されまくる新人アナウンサーなど、この点をクリアできているかは重要になる。そんな彼らが優先して学ぶべきは、正しい発声方法ではなく、「笑い話をしていた顔を瞬時に切り替え、悲しみ直す」方法ではないか。ちょっとタイトルが長くなるけれど、アナウンススクールは必修講座に「笑い話をしていた顔を瞬時に切り替え、悲しみ直す講座」を加えるべきだし、そんな講座がないなら、「通夜振る舞い」に飛び込んでみるのも一考だろう。
あそこにはプロがいる。

<著者プロフィール<
武田砂鉄
1982年生。ライター/編集。14年秋、出版社を経てフリー。4月25日に単著『紋切型社会』(朝日出版社)発売。「CINRA」「cakes」「Yahoo! 個人」等で連載。

イラスト: 川崎タカオ

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