2015年4月28日 10:00
中国の全地球衛星航法システム「北斗」と、新型上段「遠征一号」 (1) 米国のGPSに対抗する全地球衛星航法システム「北斗」
その後試験的に、また中国国内限定ではあるものの、航法サーヴィスが開始された。
しかし、衛星航法で数m単位の正確な位置を出すためには、最低でも4機の衛星を、それぞれ異なる軌道に配置することが必要である。この時点では2機の衛星が、緯度が違うだけの静止軌道から信号を出していただけであり、測位の精度は100mほどと、とても使い物になるものではなかった。その後、3号機と4号機が追加されたが、それでも最高で20mほどだったという。もっとも、この精度の問題は、衛星を数さえ打ち上げれば解決する話であり、4機で打ち止めにしたということは、中国にとってはサーヴィス開始はついでのことであり、本当のところはあくまで「実験機止まり」という位置付けだったのだろう。
実際、このあと中国は本格的な衛星航法システムの構築を目指し、続々と新型機の打ち上げを始めた。○北斗二号
本格的な衛星航法システムを構成する新型の北斗衛星は、2007年から打ち上げが始まった。この新型機は、公式には「北斗」とか「北斗衛星」としか呼ばれていない。
したがって新型機の1号機は「北斗航法衛星1号機」という、まるでそれ以前に北斗という衛星がなかったかのような名前になっている。