2015年4月28日 12:00
兼業まんがクリエイター・カレー沢薫の日常と退廃 (9) 漫画家の絵の上達と「オウンゴール」
今回のテーマは「漫画を描くために行った練習、勉強したこと」についてである。漫画家というのは絵が描けるのが大前提であるが、全員がすごくうまいというわけでもない。もちろんうまい人の方が多いと思うが、「ヘタウマ」という作風でヒットを出している作家も少なくはない。
私の漫画を読んだことがある人ならご存じの通り、当方の作風は、ヘタウマからウマを引いたものである。しかし5年の作家生活を経て、私の絵も「常軌を逸したヘタ」から「普通のヘタ」へとランクアップし、余計に売れなくなった。
デビューの際、私は最初の担当編集者から「絵はうまくならなくていい」と言われ、1~2年はそのアドバイスを忠実に守ってきたのだが、今思えばそのアドバイスを守り続けた方が良かったのかもしれない。しかし、個人的にはやはり漫画家たるもの、絵がうまいに越したことはない、と思う。
○絵の練習にありがちな"オウンゴール"を避けるために
絵をうまくするにはどうしたらいいか、と絵が描ける人に尋ねると、大抵の人が「とにかく描くこと」と答えるだろう。
しかし、私も約5年間、ほぼ365日休まず絵を描いてきた。それにしては上達がなさすぎるが、ここでただ単に才能がない、と断じてはいけない(私の心が折れる)。