軍事とIT (89) 艦艇のシステム化(4)ズムウォルト級とTSCE-I
具体的にいうと、砲やミサイル発射機、レーダー、ソナーなどといった兵装群だけでなく、主機、自動消火システムを初めとするダメージ・コントロール機能まで、単一のコンピュータ・ネットワークの下で統合化している。もちろん、個別の機能ごとにサブシステムが存在しているのだが、それがバラバラに動作するのではなく、TSCE-Iの中核機能と接続して、TSCE-Iの指揮管制機能が面倒をみているところが違う。
TSCE-Iの狙いは、ネットワーク化と自動化による効率化と、それを通じた省力化、さらにはライフサイクルコストの低減にある。軍艦の世界でも、ライフサイクルコストの中で大きな比率を占めているのは人件費だから、それを減らせばコスト低減になるという考えがある。
ズムウォルト級では、TSCE-Iの導入により、従来の艦と比べて乗組員を半減できるとの触れ込みだ。しかし、ことにダメージ・コントロールでは人手がモノをいう部分もあるのは前回にも述べた通り。むやみに乗組員を減らして大丈夫なのだろうか、と疑問に思えなくもない。○TSCE-Iのハードとソフト
そのTSCE-Iで使用するコンピュータは、GEファナック・エンベデッド・システムズ(GE Fanuc Embedded Systems)