軍事とIT (89) 艦艇のシステム化(4)ズムウォルト級とTSCE-I
軍用らしいのは、暗号化機能を組み合わせているところだ。ちなみに、ズムウォルト級だけでなくアーレイ・バーク級イージス駆逐艦でもギガビット・イーサネットを導入する計画が進んでおり、それがAN/USQ-81(V)GEDMS(Gigabit Ethernet Data Multiplex System)である。こちらの担当メーカーはボーイング社だ。
○開発に難航するのは毎度の恒例
ただ、これだけ大規模で複雑なシステムになれば、開発が難航してコストも上昇するのは業界のお約束である。TSCE-Iを担当しているのはレイセオン社だが、いろいろ苦労しているようである。もちろん、ソフトウェアはいきなり全機能を実装した完成版をリリースするのではなく、段階を追って機能強化を図りながらリリースする形をとっている。
いろいろ工夫や努力はしているのだが、それでもコスト上昇のトバッチリを受けており、ズムウォルト級では当初に盛り込むつもりだった長射程艦対空ミサイルによる広域防空能力と弾道ミサイル防衛能力を諦める羽目になってしまった。そのため、ガタイが大きくてお値段が高い割には、できることが少ない艦だ、との批判がある。