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夏には記念イベントも開催 - 半導体の進化を50年支えてきた「ムーアの法則」

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夏には記念イベントも開催 - 半導体の進化を50年支えてきた「ムーアの法則」
インテルは4月21日、半導体の高性能化を支えてきた「ムーアの法則(Moore’s law)」が発表から50周年を迎えたことを祝うリリースを発表。併せて報道機関向けカンファレンスを実施した。

ムーアの法則は、1965年4月19日発行号の「Electronics Magazine」に、当時Fairchild Semiconductorに在籍していたGordon E. Moore(ゴードン・ムーア)氏が執筆した論文に由来する。当時はムーアの法則とは呼ばれておらず、ムーアの所見などと呼ばれていた。その主な文章は、「安価な集積回路の複雑性は、これまで毎年約2倍の比率で増大してきました。長期的に見て、少なくともこの先10年は、この増加率が続くと思われます」、「集積回路による電子部品の大きな魅力の1つはコスト削減であり、単一の半導体基板により多くの回路機能を実装できるよう、(半導体)技術が進化すればするほど、コスト優位性はさらに高くなっていきます」といったものであったという。

講演を行ったインテルの取締役 兼 副社長執行役員 技術開発・製造技術本部長である阿部剛士氏は、「多くの人はムーアの法則はテクノロジーロードマップであると考えている。それも正しいが、単に技術的なものだけでなく、経済、社会という側面の意味がある」とし、論文掲載当時から、コストにも言及していたことを強調する。


インテルのCPUの歴史をざっくりと振り返ると、1971年に世界初のマイクロプロセッサ「4004」が登場。10μmプロセスを採用し、2300個のトランジスタを搭載したダイサイズ3mm×4mmの製品であった。そこから、1972年に「8008」、1974年に「8080」と続き、1978年にx86アーキテクチャを採用した「8086」が登場。以降、1982年に「286」が、1985年には32ビット化された「386」が、1989年には「486」がそれぞれ発売され、1993年に「Pentium」へとブランドが変更された。その後は、1995年に「Pentium Pro」、1997年にスロット方式(Slot 1)を採用した「Pentium II」、1999年に「Pentium III」、2000年にソケットタイプへと変更となった「Pentium 4」、2006年に「Core 2 Duo」、そして2008年に「Core iシリーズ」が登場し、2015年4月時点でCoreプロセッサファミリは第5世代品が発売されるに至っている。この初代の4004と最新となる第5世代 Core i5を比較すると、性能は3500倍、電力効率は9万倍、コスト単価は6万分の1に縮小される計算となる。こうした半導体の高性能化を支えてきた大きな技術の1つがプロセスルールの微細化だ。より微細なトランジスタを製造して、集積することで、さまざまな処理を一度により少ない電力で実行することができるようになるためであり、各半導体ベンダはこぞってプロセスの微細化を推し進めてきた。
その最たる企業がインテルであり2年に1度、前世代の0.7倍のサイズにすることで、トランジスタの集積度を高めてきており、4004の10μmプロセスから、現在は14nmプロセスへと至っている。しかし、130nm(0.13μm)あたりから、単にプロセスを微細化だけでは、性能が向上しにくい、消費電力が下がらない、などの問題から、さまざまな技術(アルミ配線の銅配線への変更や歪みシリコン技術、low-k層間絶縁膜の採用、近年ではHigh-K/メタルゲートの採用やトランジスタのFinFET化など)を取り入れることで、性能向上とコスト効率の両立が図られるようになってきた。

「それでも単位面積あたりのトランジスタコストは世代が進むごとに上昇している。3D化(FinFET)により、さらに急峻になってきており、企業としては頭の痛い問題となっているが、トランジスタの微細化を進めることで結果として、コストの削減を実現している」(阿部氏)とのことで、次世代の10nmプロセスの開発はもとより、7nm、そしてその先の5nmの研究も進めているとするが、実現への道のりは平たんではない。最たる課題は次世代の露光装置として長年量産ラインへの導入が待たれているEUVがまだ実用化の域に達していないことだ。現在は波長193nmのArF露光装置を液浸化することで波長を134nmへと短くしたり、露光回数を増やす(マルチパターニング)をしたり、という工夫を施すことで14nmの製品を実現し、10nmプロセスも実現しようとしている。インテルとしても、「7nmの研究では、EUVがあれば使うが、なくても実現できるように進めている」としており、まずは量産に使える既存技術をどうにか活用していく、といったスタンスをとっている。とはいえ、「技術的にできても、コストを上げてはいけないということがチャレンジ。
なかなかタフな問題」という認識も示している。半導体プロセスの微細化が、コンピュータの性能向上に果たしてきた役割は大きく、その旗振り役となってきたムーアの法則についてインテルは「常に根本的な指針であると同時に、常に推進力である」としている。その一方で、「More than Moore」という言葉が近年用いられるようになってきたように、微細化とは別の角度から半導体の性能向上を目指そうという動きも活発化している。また、従来のトランジスタ技術を根本的に変える「Beyond CMOS」のコンセプトをもとにした研究も各所で進められている。

プロセス微細化の限界が囁かれ、ムーアの法則が終わりを迎える、ということが語られるようになってきたが、これまでも半導体業界は、多くの壁にあたっては、その都度、それを乗り越える技術を取り入れ、成長を続けてきた。そうした半導体業界が乗り越えてきた道程を考えると、楽観視はできないが、ムーアの法則の終焉はまだ見えず、半導体の進化もまだまだ続いていくという期待はできるだろう。

なお、インテルではムーアの法則 50周年記念の展示を2015年7月ころに、東京都千代田区北の丸の科学技術館にて開催することを予定している。同イベントはこれから詳細を決定していくとのことだが、同社がこれまで製造してきた歴代のプロセッサが一堂に介する予定のほか、ウェハなども展示され、50周年を振り返ることができる内容になる予定だという。

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