兼業まんがクリエイター・カレー沢薫の日常と退廃 (11) あなたは米に「萌え」られるか
というヒャッハー精神で金を出したわけではない。では何のために、と言われたら一片の曇りもない「萌え」のためであり、20万はその崇高な精神の前に殉死したにすぎない。
ソシャゲの中には、「ゲーム性は皆無だが、好きなキャラのカードを集めてひたすらペロペロできる」という萌えに特化したゲームが多く存在し、おそらくより廃課金になりがちなのはそちらの方だと思う。正直、私の20万など塵に等しく、何百万も使っている高僧も存在する。もはや課金ではなく「徳を積んでいる」と言った方がいい。
萌えとは、喜怒哀楽どの感情にも当てはまらない。というより喜怒哀楽全てであり、時には萌えのあまり怒りだしたり泣き出したりするという、とにかくオタクにとって何を犠牲にしても得たいものなのである。
具体的にそのガチャを回すのにいくらかかるかはゲームによって違うと思うが、大体10回で3,000円ぐらいが相場と思っていい。
もちろん欲しいカードが出るかは運だ。この時点で、オタク気質のない人には信じられない話だろう。「米が買えるじゃないか」というツッコミが聞こえる。だが逆に言いたい、「米に萌えられるのか」と。確かに米を美少女に擬人化して売っているところもあるが、それはまたアナザーストーリーだ。