兼業まんがクリエイター・カレー沢薫の日常と退廃 (11) あなたは米に「萌え」られるか
○カレー沢氏が課金を「卒業」した理由
しかし、これだけ熱弁しておいてなんだが、現在、私は課金から足を洗っている。きっかけは、某萌えソシャゲの好きなキャラのカードを1種類集めるために、10万ほど使ってしまったことである。カードをそろえたことに後悔はないが、「これを続けていたら確実に後悔することになる」とはっきりとわかったからである。ソシャゲの良い所は、買い切りゲームならひと通りクリアしたら終わりだが、ソシャゲの場合、終了しない限りは次々と新しい要素が追加され、好きなキャラのカードもドンドン増えていく。そのたびに10万出し続けていたらどうなるだろうか。想像はたやすい。
このように、何十年も私を楽しませてくれた「ゲーム」というものから、「不幸」の臭いが漂っていたのである。つまり、ギャンブル依存症などにおける「底つき」が、割と浅い段階で来てしまったわけだ。
人間の底が浅いと、こういう底も浅くて助かるという利点もある。
しかし、ソシャゲ自体に絶望したわけではなく、そのゲームも無課金で続けているし、他にも色々とやっている。だが、「課金から足を洗った」と言っても、課金衝動と言うのは、酒やたばこ、ギャンブル、果ては麻薬と同じで、克服したと思ってもふとした瞬間襲ってくるものであり、また1回でも課金したら元通りになる自信がある。