2015年6月1日 11:00
巨人Intelに挑め! - 80286からAm486まで (4) Intelとの協力体制を築いたAMDだったが…(後編)
との組み合わせで、その後Wintel(この表現は後になって主にプレスが使ったのであって、面白いことに筆者はIntelもマイクロソフトもこの言葉を積極的に使っていたのを聞いたことがない…)という無敵のビジネスモデルを打ち立てたIntelは、次期プロセッサ製品80386を開発するにあたってAMDとの関係において社内で密かに決定していたことがあった。要約すれば下記の3つの事項である。
80386はAMDにはライセンスしない。
しかしそのことはAMDにはすぐには伝えない(ぎりぎりまでAMDをIntelアーキテクチャのサポート側につけておく)
80386発表後は80286からの切り替えをできるだけ早く行いAMDを振り切る。
誤解のないように記しておくが、これらのことをIntelが密かに決めていたと言う事実は筆者が憶測で言っているのではない。AMDはいくら待っても、Intelが80386の二次供給ライセンスの話に乗ってこないので、1982年のライセンス契約に基づいてIntelに対し調停訴訟を提起した。それを見たIntelは、すぐさまAMDに80386のライセンスをしないと宣言した。調停訴訟というのは、ハイテクノロジーの業界ではよく出てくる話で、長期にわたり、しかも金がかかる法廷闘争の代わりに、両社の合意のもとに選出された調停人(ほとんどの場合引退した裁判官、判事など法律のプロが選ばれる)