2015年6月5日 17:04
東大など、コバルト酸化物の新たな磁気構造「悪魔の階段」の観測に成功
東京大学(東大)や理化学研究所(理研)などで構成される研究グループは、スピントロニクス材料として期待される巨大磁気抵抗を示すコバルト酸化物「SrCo6O11」に、スピン配列の周期として理論的に考えられるすべての状態が存在し、それらが磁場の変化とともに磁化が階段状に増加していく様子「悪魔の階段」を確認することに成功したと発表した。
同成果は、東大 物性研究所の和達大樹 准教授、同大学院工学系研究科の石渡晋太郎 准教授、同大学院工学系研究科の十倉好紀 教授(理化学研究所創発物性科学研究センター センター長)、京都大学化学研究所の齊藤高志 助教、独Leibniz Institute for Solid State and Materials Research Dresde とHelmholtz-Zentrum Berlin らによるもの。詳細は米国科学誌「Physical Review Letters」の6月8日オンライン版に掲載される予定。
実際の観測は、ドイツの放射光施設「BESSY II」において共鳴軟X線回折実験として行われ、その結果、ほとんどすべてのスピン配列の周期性に対応する分数値の回折ピークが観測され、各々の温度でさまざまな周期の磁気秩序が共存している様子が確認されたとのことで、これについて研究グループは、磁気的な相互作用の正負が距離によって変化するモデルを理論的に解くことで得られる「悪魔の階段」