年内の米国利上げ観測が強まるなか注目集まるバンクローン
5月下旬にFRB(米連邦準備制度理事会)のイエレン議長が年内の利上げを示唆する発言を行なったことに加え、5月の米雇用者数が市場予想を上回ったことから、年内に利上げが行なわれるとの観測が再び強まっています。利上げのペースは緩やかと見込まれているものの、実質ゼロ金利という異例の超低金利からの金利正常化となるだけに、市場の警戒感は強くなりがちです。足元で、米国の長期金利は上昇に転じており、今後、金利変動リスクに注意する必要がありそうです。
一方で、日欧など他の主要先進国では、金融緩和が継続される見込みであり、長期金利は低水準を維持するとみられることから、相対的に利回りの高いインカム資産への需要は強いとみられます。そのような中、相対的に利回りが高いだけでなく、固定金利の資産と比較して金利上昇の影響を受けにくい特性を有するインカム資産として、バンクローンへの注目が高まっています。バンクローンは、一般に、相対的に信用格付が低い企業などに対する貸付債権であり、信用リスクが高い分、その見返りとして利回りが高くなる傾向にあります。また、バンクローンは、定期的に金利水準を見直す仕組みであるため、市場金利が上昇する局面では金利の上昇に伴ない金利収入が増加することから、価格の下落は固定金利の資産に比べ限定的となる傾向があり、過去の金利上昇局面では、バンクローンのパフォーマンスは相対的に堅調でした。