くらし情報『JAXAの「火星の衛星からのサンプル・リターン」計画とは (1) のぞみを継ぐもの』

2015年6月19日 13:16

JAXAの「火星の衛星からのサンプル・リターン」計画とは (1) のぞみを継ぐもの

電気推進は燃費が良く、少ない燃料で飛ぶことができるが、大きな力を瞬間的に出すことはできないため、化学推進エンジンと同じだけの加速を得るためには、非常に長い時間、連続して運転させなければならない。

上記の検討例を見ると、その長所と短所が如実に現れていることがわかる。たとえば「化:化」案は、化学推進は急激な加速や減速ができるため3年で往復ができるが、燃費が悪いため打ち上げ時の質量が3800kgと重い。一方「電:電」案では、電気推進では化学推進と比べ、同じだけの加速を得るためには時間がかかるため往復に7年もかかるが、燃費が良いことから打ち上げ時の質量は1200kgと軽くなっている。

打ち上げから帰還までの期間を考えると「化:化」案が一番良いだろうが、打ち上げにはH-IIBロケット以上に強力な機体が必要なため、ロケットの確保に苦労するかもしれない。「電:電」案はH-IIAロケットの標準型で打ち上げることができ、また開発を進める中で機体が予定より重くなったりしても修正できる余裕があるが、ミッション期間が長いため、宇宙を航行中に問題が発生する可能性は上がるし、また科学者が論文を書けるのが年単位で先になるといった欠点がある。

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