2015年6月25日 15:08
産総研など、世界最高水準の性能を持つ小型直流電圧標準器を開発
産業技術総合研究所(産総研)は6月24日、エーディーシーと共同で、経時安定性と温度安定性がともに世界最高水準で、コンパクトな直流電圧標準器を開発したと発表した。
国の電圧標準は、限られた機種の大型直流電圧標準器を介して校正機関へと供給されている。近年、多くの製品やその製造には、電気を基本とした制御・駆動方式が用いられており、製造現場での電圧測定ニーズが高まっていることから、正確で高度な電圧測定を、場所を問わずに行える小型の直流電圧標準器が求められていた。
今回の研究ではまず、直流電圧標準器に必要なツェナーダイオード素子の経時変化特性を、ジョセフソン効果(二つの超伝導体の間に薄い常伝導体を挟んだ構造の素子に生じる物理現象)電圧標準器を用いて評価した。そこで得られた結果から特性の良好な素子を選別し温度制御用モジュールへと実装した後、温度係数の評価や改善を行ったことにより、小型のものとしては世界最高水準の性能を持つ直流電圧標準器の開発に成功した。
開発した標準器の出力電圧は7.2Vと10Vで、7.2V出力での経時安定性は±1ppm(100万分の1)/年、温度安定性は±0.02ppm(1億分の2)