2015年7月22日 12:00
フォントから考える (1) 創英角ポップ体はなぜ街に溢れるのか?
その選択肢の少なさも影響しているように思えます。
――この2種類のフォントから選んでいると仮定しても、創英角ポップ体の方が圧倒的に多く採用されていると感じますが、これはどんな要因が考えられますか?
どちらの利用頻度の方が多いかは分かりませんが、もし仮に創英角ポップ体のほうが多く選ばれていると仮定すると、その理由は、太さが近い創英角ゴシックUBと比べ、ゴシック体や明朝体のような「堅さ」が少ない印象が特徴的だから……ということに加えて、「手をかけた」感が手軽に出せる、という点も関係があるかもしれません。
――「手をかけた」感について、詳しく教えてください。
「手をかけた」感というのは、見た目から得られる、なにか凝った印象のことだと思ってください。画像やイラストの追加や、文字にふちをつける、影を落とす、背景に色をいれる、テクスチャをつけてみるなど、デザインの「密度感」や「情報量」を多くしていくと、見た目の「手をかけた」感が育っていきます。
創英角ポップ体は文字の太さが変わったり、傾いたり、濁点が丸くなっていたり、角が強かったりと、要素ごとの主張が非常に強いです。それはつまり、見慣れたゴシックや明朝体とは明らかに異なるディテール、情報量を持つフォントで、ひとめで違いが分かりやすいフォントといえます。