2015年8月7日 11:00
新型基幹ロケット「H3」の挑戦 (3) 「大きなものから小さなものまで」柔軟な打ち上げを可能に
実際、全長は63mと、H-IIAから10mも伸びている。
中心のコア機体の直径は5.2mで、これはH-IIBロケットの第1段と同じだ。初期の検討では「直径は4.5mから5mの間で検討中」とされていたが、最終的にそれよりも太くなった。これには、同じタンク容量でも、直径を太くすることで全長を抑えることができるといったメリットや、H-IIBで使っていたジグ(固定用の道具)などの設備を流用できるといったメリットがあると考えられる。
また機体が大きくなったことで、打ち上げ時に空気の抵抗や音などから人工衛星を守るための衛星フェアリングも、H-IIAより大きくなっている。なお、H-IIAではロケット本体よりも太いフェアリングや、衛星を2機搭載するためのフェアリングなど、さまざまな種類が用意されているが、あまり多いとコストが上がってしまうため、H3では種類を抑えたいとしている。
打ち上げ能力は、高度500kmの太陽同期軌道へは4トン以上、静止トランスファー軌道へは6.5トン以上の打ち上げを目指すとされる。太陽同期軌道というのは地球を南北に回り、なおかつ太陽光の差し込む角度が一定となる軌道のことで、地表の観測に適しているため、地球観測衛星や偵察衛星がよく投入されている。