2015年8月7日 11:00
新型基幹ロケット「H3」の挑戦 (3) 「大きなものから小さなものまで」柔軟な打ち上げを可能に
現在、H-IIAの標準形態である202型では4トン、最強形態である204型では6トンまでの静止衛星を打ち上げることができるが、第1回で触れたように、近年では7トン近くもあるような、H-IIAでは打ち上げられない衛星も出てきていることから、H3では6.5トン以上の打ち上げ能力を目指すことになっている。また6トン以上であれば、3トン級の中型衛星を2機同時打ち上げることも可能になる。具体的に最大何トンまで対応できるかは、今後の設計を進める中で決定されることになるだろう。
○第1段ロケット・エンジンの装着数を変えられる独創的な設計
こうした、さまざまな軌道へ多種多様な人工衛星の打ち上げを行うため、H3は打ち上げ能力を柔軟に変えられるような設計になっている。
H-IIAでも、機体下部の両脇に装着されている固体ロケット・ブースター(SRB-A)の装着数を変えることで打ち上げ能力を変えられたが、これはH3でも継承された。ただ、以前H-IIAであった固体補助ブースター(SSB)などは設定されず、現在のH-IIAと同じ、2本か4本で選ぶことになる。また、打ち上げ能力が一番小さくなる構成では、固体ロケット・ブースターは装着すらされない。