くらし情報『新型基幹ロケット「H3」の挑戦 (4) 打ち上げ失敗から生まれた希望 - 第1段エンジン「LE-9」』

2015年8月18日 12:00

新型基幹ロケット「H3」の挑戦 (4) 打ち上げ失敗から生まれた希望 - 第1段エンジン「LE-9」

一方、LE-9では「エキスパンダー・ブリード・サイクル」という方式が使われる。この仕組みはプリ・バーナーを持たず、燃料を使ってエンジンの燃焼室やノズルを冷却し、その際に発生したガスを使ってタービンを回す。そしてそのガスは噴射には使われず、そのままロケットの外に捨てられる。これにより、効率や性能は二段燃焼サイクルよりも劣るものの、構造が簡素で造りやすいという特長がある。また壊れにくいため安全性も高く、運用もしやすい、頑丈なエンジンである。

エキスパンダー・ブリード・サイクルはすでに、H-IIロケットの第2段エンジンの「LE-5A」や、H-IIA、H-IIBの第2段エンジン「LE-5B」、「LE-5B-2」で採用されており、日本にとっては得意とする技術でもある。

○打ち上げ失敗から生まれた希望

エキスパンダー・ブリード・サイクルの頑丈さは、過去にH-IIロケット8号機の打ち上げで、期せずして実証されている。

H-IIの8号機は1999年11月15日に打ち上げられたものの、失敗に終わったミッションだ。
H-IIの第2段には通常LE-5Aを使うが、この8号機のみ、当時開発されたばかりのLE-5Bが装備されていた。

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