くらし情報『岡山大、イネが籾殻にケイ素を優先的に分配するための仕組みを解明』

2015年8月19日 17:58

岡山大、イネが籾殻にケイ素を優先的に分配するための仕組みを解明

の導管に面した側面に、Lsi2は肥大維管束を包む細胞層「維管束鞘」の外側面に、Lsi3は肥大維管束と上の節または穂につながる「分散維管束」の間の複数の細胞層に発現していた。このことから、葉へと続く肥大維管束の導管にケイ酸を含む蒸散流が流れ込むと、まずLsi6によって選択的にケイ酸が木部転送細胞に取り込まれ、続いてLsi2とLsi3によって上の節や穂へと続く分散維管束の導管に再び積み込まれる、ケイ酸の「維管束間輸送」が行われていると考えられた。

また、「肥大維管束」の肥大による蒸散流の減速、「木部転送細胞」のひだ状構造による表面積と輸送体発現の増加など、「節」の特徴的な構造が効率的な「維管束間輸送」に寄与していることも判明。特に、Lsi2が発現する「肥大維管束」の「維管束鞘」に新たに見出された、細胞間の水や溶質の透過を妨げるバリアーは、Lsi6とLsi2-Lsi3の連携によって「分散維管束」側へとケイ酸を濃縮するために欠かせない堤防の役割をしていることがわかった。

このケイ素の分配メカニズムは、他のミネラル元素の分配メカニズムを理解するためも重要なモデルケースになると考えられている。今回の成果をベースに、それらのメカニズムを解明し、各栄養素や毒性元素の殻粒への分配を選択的にコントロールできれば、イネ科作物の生産性や栄養価、安全性の向上が期待できる。

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