くらし情報『新型基幹ロケット「H3」の挑戦 (5) その進化は見た目以上―第2段機体と固体ロケット・ブースター』

2015年8月24日 13:26

新型基幹ロケット「H3」の挑戦 (5) その進化は見た目以上―第2段機体と固体ロケット・ブースター

という打ち上げ能力は、厳密には“近地点高度が250km、軌道傾斜角が28.5度の”静止トランスファー軌道に6トン、という前提条件が付く。ここから衛星がエンジンを噴射し、静止軌道に乗
り移るためには、秒速1830mほどの増速量が必要となる。

ところが、商業衛星の打ち上げ市場の中で一番のシェアを握る欧州の「アリアン5 ECA」ロケットは、この増速量が秒速1500mほどで済んでしまうのだ。アリアン5の発射場はほぼ赤道直下にあることから、軌道傾斜角が静止軌道と同じ、ほぼ0度の静止トランスファー軌道へ打ち上げることができ、その結果、衛星側はほとんど高度を合わせるだけで済んでしまうためである。

この格差を改善するために開発が始まったのが、H-IIAの高度化である。主にH-IIAの第2段を改良し、より長時間飛行できるようにし、そしてLE-5B-2を再々着火、つまり合計で3回、点火と停止を繰り返すことができるようにする。これに
より、これまでは衛星側が負担せざるを得なかった増速量の一部を肩代わりできるようになる。その代償として、静止トランスファー軌道への打ち上げ能力は最大4.6トンまで落ちることにはなるが、アリアン5などとほぼ同等の条件の静止トランスファー軌道に、衛星を打ち上げることが可能となる。

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