2015年9月7日 15:03
日米の太陽観測衛星「ひので」と「IRIS」、太陽コロナ加熱問題で大発見 (1) 太陽における長年の謎「コロナ加熱問題」とはなにか
と「波動加熱説」
現在、太陽コロナ加熱問題では、大きく2つの仮説が議論されている。
ひとつは「ナノフレア加熱説」と呼ばれるものである。太陽の表面ではフレアという爆発現象が起きており、そのうち小さなものがマイクロフレア、さらに小さなものがナノフレアと呼ばれている。今の技術ではナノフレアを観測することはできないものの、ナノフレアによって生じているエネルギーによって、コロナが加熱されているのではないか、という仮説である。
そしてもうひとつが「波動加熱説」である。太陽の表面にはあちこちに磁場が生えてきており、その磁場が揺すられることで、波のエネルギーとして太陽表面からコロナにエネルギーが運ばれ、コロナの中で熱になっているのではないか、という仮説である。
ただ、どちらの仮説にも一長一短があった。たとえばナノフレア加熱説では、ナノフレアによって発生するエネルギーをすべて足しても、コロナを加熱するために必要なエネルギーには足らないことが判明している。
また波動加熱説は、光球からコロナへと波動が伝播する様子が観測されていないし、上空に伝播した波がどのように散逸し、コロナを過熱しているのかがわかっていなかった。