くらし情報『兼業まんがクリエイター・カレー沢薫の日常と退廃 (27) 続・「カレー沢薫先生サイン会」の開催動機』

2015年9月8日 12:00

兼業まんがクリエイター・カレー沢薫の日常と退廃 (27) 続・「カレー沢薫先生サイン会」の開催動機

しかし、私の顔は何度見てもシケている。それにも関わらず、何回も私のサイン会に来るメリットとは何なのか。純粋に私を応援しに来てくれると考えたいが、逆に怖いし得体が知れなさすぎるので、何とか他の理由を探したい。

そこで気づいたのだが、どうやら私のサイン会に来た者同士で交流が生まれているようなのである。確かに、待合室でも人の輪ができていた。つまり、私のサイン会がちょっとしたオフ会の会場になっているのだ。

毎回一人は嫁や彼女の遣いで私が何者かもわからないままサインをもらいに来ている男性も混ざってはいるものの、その場に集うのは、少なくとも私の漫画を読んだことがある人が過半数である。趣味が似通っている人間が集まっていると考えていいので、話もしやすいのだろう。
確かに、そういう愛好家同士の交流の場と考えれば毎回参加する意義はある。

もちろん、全員がそうして交流しているわけではなく、一人で来て一人で並んで一人で待ち、一人でサインをもらって、楽しそうな輪を横目にダッシュで帰っている人だって絶対いるのだ。そして、私はどう考えてもそちらの人間である。事実、待合室の輪を見るたびに「俺はこの輪には入れない」と呪詛のごとく思った、というか若干呪った。

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