2015年10月29日 12:00
『台風のノルダ』の「スタジオコロリド」が、デジタルのアニメ制作にかける思い (2) アナログ/デジタル作画の混在は、"誰か"に苦労を強いる
が話題になることがあったのですが、デジタル制作を今本格的にやられているお二人から見て、アナログ製作のときの線と、今デジタルで作られている線の「味」というか、見栄えや雰囲気に何か大きな変化はありましたか?
新井:
基本的に、原画はアニメを構成する「素材」のひとつだと思っています。紙に描かれた鉛筆の線って、すごくいいんですよね。でも、その原画が描かれた後は、動画さんがトレースして間の動きの部分を描いて、次はスキャンされてデータになって、二値化(アンチエイリアスをかけない、白と黒のみの線に変換)されるんです。
そうなると、結果的に原画マンが紙の上で表現した描線のノイズ感や情報量というのは、その後の工程でそぎ落とされて、完成した作品にはなかなか残らないんですよ。今の日本の商業アニメの作り方では、最終的にその「味」はなくなってしまうものなので、その土俵の上で、原画に芸術性を求める必要はないと思っています。
――鉛筆で描くアナログ制作では、やはり絵に対する思い入れが強くなりがち、という面もあるのでしょうか?
新井:
それはあると思います。最近はアニメの原画展も多く行われるようになってきて、一枚絵としての原画が見られる機会も増えていますし、目にするとやはり作品としてのすごみも感じます。