2015年11月9日 09:00
“守り”ではなく“攻め”へ! 電力小売自由化に向けた東京電力の戦略
新規参入組の提案として前面に出てくるのは、やはり料金戦略だろう。身軽な企業体質を生かしたり、セットメニューによるお得感を出したりすることで、東京電力からの顧客を奪おうとしている。
電力小売全面自由化で先行している海外市場では、住宅保険などの金融サービス、自動車保険や修理などと連携した自動車関連サービス、携帯電話などの通信関連サービス、配管清掃をはじめとする住宅関連サービスなどとセットにする例が出ており、その競争は熾烈化。スポーツ観戦への招待や、有名人のサインをプレゼントするといったメニューまで用意されるというエスカレートぶりとなっている。英国では、さまざまなメニューが乱立したことで料金体系が複雑化。電気小売事業者に対して、提示できる料金メニューの数が制限される事態にまで発展しているほどだ。
日本でも同様に、まずはセットメニューによる提案が各社の料金戦略を左右することになりそうだ。
実は、料金戦略は、セットメニューに頼らざるを得ない理由がある。
東京電力によると、電気に関わるコストの約70%が発電によるものであり、送電部分に関わるコストが約25%を占めるという。つまり、価格差の余力となるのは残り数%の部分になるのだ。