2015年11月11日 15:20
金星到着まであと26日 - 探査機「あかつき」記者会見を詳細レポート
スラスターは完全に壊れ、もう使うことはできない。しかし、運用チームはなんとかして再挑戦の機会を掴もうと検討を重ね、その結果「あかつき」の姿勢を制御するために使う、より小さなスラスターを使って軌道投入する方法が編み出された。
この小さなスラスターは、探査機本体の上面と下面の4隅にそれぞれ搭載されており、「プシュ」と噴射することで、探査機を姿勢や向きを制御する。そのため1基あたりの力はすごく小さい。軌道投入では4基を同時に噴射するが、それでも本来使うはずだったスラスターの20%の力もない。難しい方法だったが、道筋は見えた。
再挑戦は2015年の冬ごろに設定され、そして2011年11月、それに向けて軌道を調整するため、この小さなスラスターを使った軌道修正が行われた。その後、投入日を2015年12月7日に設定することが発表され、また2015年7月には、金星を周る軌道への投入後の観測を有利にするための軌道修正も行われた。
さらに「あかつき」は、太陽の熱にも耐えなければならなかった。投入に失敗したことで、当初想定していなかった近さにまで太陽に近付く軌道を回ることになり、最も近付くところ(近日点という)