私たちは、"お母さん"を背負って生きている!? - 劇作家・ペヤンヌマキさん
――そんな引き裂かれた自分を意識したのは、いつ頃ですか?
高校卒業後に一人暮らしをして、親元を離れてから。そのとき初めて、母の言葉の暴力も異常だったんだということに気が付きました。実際以上に「お父さんは悪者だ」と洗脳されていたなって。
家族と距離をとることで、親のありがたみもダメなところも客観的に見られるようになったというか。親といるときは常にイライラしていたのが、性格も穏やかになって自分本来のペースで生きられるようになった気がします。
○「子供が欲しい」気持ちに隠されたエゴ
――近年、「毒親」という言葉も浸透してきましたが、親の呪縛を断ち切るのって難しいですよね。
それまで物理的・経済的に親に依存してきたという恩や借りがありますからね。わたしも、自力でがんばって勉強して東京に出てきたと思っていたけど、実際は親が大学に行く資金を出してくれていたわけで。
子供の側も、どこかで自分を守ってくれること、味方してくれることを親に期待しちゃっているし、情があるから見放せない。親の呪縛から逃れなさいと言われて逃れられたら、とっくに逃れてますよね。
――年を重ねて、お母さまに対する思いに変化はありましたか?
お母さんの人生ってなんだったんだろうと考えてしまうときはあります。