水は液体状態では、一般に分子の配置が結晶のような周期性をもたず、どこも均質に乱れていると考えられてたが、同研究により水を過冷却すると、「拡張多胞体」と呼ばれる、1nm程度の秩序あるクラスタが徐々に増え、不均一な構造となることがわかった。さらに、計算機シミュレーションに加えてグラフマッチングという手法を用いることで、液体のなかの乱れた構造を網羅的に分類して、拡張多胞体が過冷却水やアモルファス氷で最も主要な秩序構造であることを明らかにした。今回発見した拡張多胞体構造には、右手型と左手型の、互いに鏡映対称で重ねあわせられない2種類の構造(キラル構造)があり、過冷却水やアモルファス氷では、この2つの微細構造が混在していると考えられるという。
同研究グループは、水を冷やすと徐々に顕著になる、さまざまな特異な性質が、この構造に由来すると考えると、従来よりも明確で一貫した説明を与えられると見込んでいるほか、同研究で用いた網羅的な構造分類手法により、細胞内などの狭い空間にある水や、電解質水溶液など、通常の水とは異なる性質の水の構造の違いを見つけ出し、その役割を詳しく解析できるようになるとしている。
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