MHI、X線天文衛星「ASTRO-H」を打ち上げるH-IIA 30号機を公開 - 乗り心地の改良と低コスト化に向けた飽くなき挑戦
しかし、29号機では高度化で開発された改良のすべてが使われたわけではない。29号機に使われたのは、高度化の中でも静止衛星の打ち上げ能力を高めるための改良のみであった[*1]。
そして今回の30号機では新たに、高度化における改良点のひとつである「低衝撃型衛星分離部」の試験が行われる。この部分の開発は三菱重工ではなく、川崎重工業が手掛けている。川崎重工は従来の衛星分離部や、衛星フェアリングなどの開発、製造も担っている。
衛星分離部というのは、文字通りロケットから衛星を分離するための装置のことである。こう書くと簡単に思えるが、ロケットは飛行中には絶対に衛星が外れてはいけないし、逆に衛星分離時には、絶対に分離させなければならないため、難しい技術が要求される。
これまで多くのロケットでは、ロケットと衛星をボルトで固定し、分離時には「火工品」という爆薬を使った部品を使ってそのボルトを一瞬にして切断していた。
ボルトで締め付けるため飛行中は外れにくく、また爆薬を使うことで確実に分離できるため、手堅い方法である。
しかし、爆薬で一気に切断するということは、その際に発生する衝撃は非常に大きなものになる。