くらし情報『労働者に手厚すぎる? ペルーの正社員が増えない理由』

2015年12月7日 07:00

労働者に手厚すぎる? ペルーの正社員が増えない理由

しかし、有期契約を毎年更新していくと、勤続6年目以降は自動的に生涯雇用に移行する。これを防ぐため、5年目までに雇用契約を打ち切る企業は少なくない。また、契約期間満了以前に解雇した場合、企業は残りの期間の給与を補償しなければならない。

こうしてみると、有期契約社員は終身雇用の社員より損だと思うかもしれない。しかし、たとえ有期契約でも有給や病欠を始め、ほとんどの待遇は終身雇用と変わらない。労働者にとって転職に対するマイナスイメージはなく、好条件やスキルアップの機会があれば誰もがすぐに転職を考える。ペルーの労働市場は日本より遥かに流動的で、転職の数を見て人柄を疑われることはないのだ。

労働者寄りといっても、ペルーの労働法だけが突出している訳ではない。
フランスやスペインでも有給休暇は30日ある。とはいえ、懲戒解雇はさておき、労働者が不当解雇の声を上げればほぼ勝訴する現状では、厚遇の謗りを免れないだろう。現行法は投資や雇用促進を妨げるとして、外資系企業を中心にさまざまな意見や改善要請が出されているものの、今後も労働者の権利を守るという労働雇用促進省の姿勢は変わっていない。2015年4月、社員10人以上の企業における正社員増加率は、前年同月比でわずか1.1%だった。ペルーの正社員数はこれからもなかなか増えそうにない。

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