2015年12月8日 10:30
カタール航空の関空撤退に見る中東エアラインの戦略--首都圏空港問題の実態
との見方もあったが、オペレーションに関して言うなら、地上交通利便さえ確保されるなら羽田空港の発着時間は致命的な問題ではないように思われる。
●事実上の「関空・中部縛り」の撤回が成田・羽田路線にどう影響するか
○暗黙の「関空・中部縛り」
話をカタール航空の関空線運休に戻す。このような市場環境の中での運休は、カタール航空が言う通り「商業上の理由」だろう。中東各社は本来まず東京に乗り入れたかった。しかし、成田空港の発着枠の制約、日本側エアラインの中東乗り入れ予定がないなどの背景があり、国交省は各国にひとつの条件を課した。「成田空港に乗り入れるなら、同便数を関空か中部空港に運航すべし」という"関空・中部縛り"である。そこでカタール航空はまず、関空に就航した。
中東エアラインは当初、これに大変苦しめられた。
日本での外航のマーケティングはまだまだ旅行代理店に依存するところが大きく、自社ウェブサイトで簡単に席がさばけるというものではない。まして売る商品は中東だけではなく、ヨーロッパ、アフリカまでのネットワーク全体に散らばる都市であり、これら地点ごとに細かく予算が振られて達成を求められる。日本国内で一度に2つの都市で代理店、法人相手に営業を展開するのは大変だ。