2015年12月8日 10:30
カタール航空の関空撤退に見る中東エアラインの戦略--首都圏空港問題の実態
というビジネスを志向していることに比べると、中東各社は「自国の需要は2割くらいしかないが、自国を経由していく出発地、目的地の需要を大量に摘み取ることでビジネスを成り立たせる」という特徴をもつという点で、大きな違いがある。欧州エアライン等が「他人の庭で商売をする」と中東エアラインを揶揄(やゆ)するのはこうした理由に基づく。
○中東各社の理想は深夜便
このような事情から、中東エアラインにとっての生命線は「コネクティビティ(乗継の利便性)」ということになる。アジア側の各国から自国のハブ空港に何十便が到着し、これらからの乗継客が2時間前後の乗り継ぎ時間でスムーズに欧州、アフリカ、そして南米に向かうというのが理想的だ。
これを可能とするためには、「到着便の集中時間帯」と「出発便の集中時間帯」がうまくつながるように発着のダイヤを固めることが必要になる。この時間帯を「バンク(土手)」と言うが、バンクに集中した到着便をさばくためには十分な空港容量とターミナル(発着ゲート)が必要になるので、中東各社は広大な土地をさらに拡張して空港整備を行っているわけだ。そして、この時間帯に全部の便が着くようにアジア各地の出発時間を調整するのだが、日本線の大きな問題は両国の時差と成田空港の夜間発着制限である。