2015年12月21日 16:05
日本のビッグデータ・AI業界に求められるものとは? - NIIの教授が語る現状
一方、同氏は日本のビッグデータ、AI分野における世界のトップ会議への論文採用数は全体の2~3%程度で特定のワールドクラスの研究者を除くと惨憺たる状況だと指摘。「国内の理論・基礎研究の現状はGoogleやMicrosoft、Amazon、Facebookなどの巨大IT企業の研究所の基礎研究者と差があるほか、基礎研究の重要性が日本企業に認識されているとは言いがたい。今後10年の課題として世界的に評価される基礎研究者で、かつ実社会への問題にも貢献できる人材を多く輩出していくべきだ」と強調。「AI研究の現状として、近年では多くの企業がAIに対する投資を始め、海外の研究機関に多額の資金を投じている一方、日本の研究機関にはあまり投資していないほか、国内市場が大きいため世界的に展開する必要がないため、ますます差がついていく。国内から世界へ研究成果を発信していくことが重要だ」とも述べた
そのような状況を鑑み、河原林氏は科学技術振興機構(JST)の「戦略的創造研究推進事業・総括実施型研究(ERATO)」に採択された巨大なネットワークを膨大な点と辺の接続構造を「巨大グラフ」として表現し、理論計算機科学や離散数学などにおける最先端の数学的理論を駆使してそれを解析する、高速アルゴリズムの開発を目指す「河原林巨大グラフプロジェクト」