2015年12月25日 09:30
インバウンド観光客を「虜」にする日本の“文化財ランドマーク”【後編】
自治体を挙げて世界遺産登録に向けて運動しているが、彦根城にとってハードルが高い。
というのも、ユネスコの諮問機関で世界遺産登録の審査を行っているICOMOS(イコモス)の審査内容が厳格になっているからだ。それは“世界遺産のない国を優先的に”“1国で1案件を審査する”といった具合だ。そして何よりもハードルを高くしているのが姫路城の存在。すでに日本の城郭として姫路城が世界遺産に登録されているため、同じ日本の城郭として“二番煎じ”とイコモスに捉えられているふしがある。
松江城が長いあいだ国宝指定を受けられなかったのは、同じ複合式天守の彦根城がすでに国宝に指定されていたためと、前回のレポートで解説したが、皮肉にもその構図が世界遺産のステージで彦根城に降りかかっているわけだ。
この膠着状態を打開するには、いかに姫路城と差別化するかがカギとなる。幸い彦根城には併設された日本庭園「幻宮園」や、江戸時代の様相を色濃くのこす城下町がある。
これらは姫路城にはないもので、世界遺産登録に向け、天守閣とセットでいかにイコモスにアピールできるかがポイントとなるだろう。
世界遺産登録に向けての取り組みは足踏みをしているものの、観光客の集客は好調だ。