2016年1月15日 08:00
飛行機のように飛ばせる「再使用ロケット」は実現するのか?(前編) - 宇宙を身近な場所にするために
●「再使用ロケット」構想は古くから存在した
宇宙に向けて打ち上げられたロケットが、役目を終えた後にまっすぐ地上に帰ってくる。そんなSFでしか見られなかった光景が、ついに昨年、現実のものになった。
米国の宇宙開発企業「ブルー・オリジン」は2015年11月23日に、「ニュー・シェパード」という小型のロケットを打ち上げ、まっすぐ上昇して高度約100kmに達した後、そのまままっすぐ降下し、着陸した。続いて12月21日には、米国の宇宙開発企業「スペースX」が、人工衛星を打ち上げた「ファルコン9」ロケットの第1段機体を、発射台にほど近い陸上に垂直着陸させることに成功した。
さらにこうした流れに呼応するように、他の国や企業でもロケットを何度も繰り返し打ち上げようとする動きが始まりつつある。
まるで飛行機のように、一度打ち上げたロケットを着陸させ、再び飛ばすことができる「再使用ロケット」のアイディアは、打ち上げコストを大きく引き下げ、宇宙を身近な場所にする手段として、古くから考えられていた。一度は限定的ながら実現したものの挫折し、姿を消したが、近年になり再び熱を帯び始めている。
今回は再使用ロケットの歴史と現状および将来について、そして本当にロケットの打ち上げコストは下がり、宇宙が身近な場所になるのかについて見ていきたい。