CES 2016と「4K録画禁止騒動」から見る、映像ビジネスの行方 (後編) - 西田宗千佳の家電ニュース「四景八景」
だがそれでも、録画には意味がある。
それは、4Kにおける配信とUHD BDの関係と同じだ。手元に「録画したものを残したい」と思う人は、少なくなるだろうが、一定の数はいる。1970年代のテレビ文化を知る貴重な資料の多くは、当時まだ高価なビデオレコーダーを買い、熱心に録画をしていた人々の貴重なアーカイブから得られている部分が少なくない。配信だけに頼ると、そうした「文化を残す」行為も失われかねない。
「本当に、本音から録画を禁止したいのか、ちょっと疑問がある」
前出のテレビ局関係者は、筆者に問われてそう答えた。もちろん、テレビ局として録画にはあまりいい顔はしない。だが、いまさら止めろといっても無理筋なのでは、というのが彼の考えだ。
あれだけ権利に厳しく、録画文化の定着していないアメリカですら、無料放送に録画制限をかけることはしていない。録画禁止の話はさらにない。日本でそこまで頑なになる必要が、どこにあるだろうか? 個人的には、有料放送ならば「録画禁止のものがある」のも致し方ないかと思う。しかし「無料放送」まで含め、そこまでやる必要があるだろうか?
さらに言えば、4K放送は当面、地上波に降りてくる予定がない。