CES 2016と「4K録画禁止騒動」から見る、映像ビジネスの行方 (後編) - 西田宗千佳の家電ニュース「四景八景」
現在検討が進んでいるのも、衛星放送向けの運用ルールだ。4K向けには、アンテナをはじめとする衛星放送受信設備の改修が必要となるため、受信のハードルは高くなる。
さて、そこで「録画までできない」となると、みたいと思う人はどのくらいの数になるのだろうか? 日本でもネット配信はどんどん増える。アンテナを改修するより、テレビをネットワークにつなぐ方がずっと簡単で費用もかからない。
テレビは「みてもらってナンボ」の商売だ。そこで「みるためのハードル」を上げることが、産業のためにも放送のためになるとも思えない。録画でもネット配信でもいいから、「番組のファンになってもらう」ことが再優先ではないか。
全体をみて、より価値のある環境を作るという意味では、UHD BD実現のためにUHDAができたように「競合する相手すら巻き込んでビジネスプランに生かす」くらいの発想が必要になる。
テレビ局には、真剣に「自分は誰に支持されて、はじめてビジネスになるのか」「自分たちのお客様は本当は誰なのか」という視点から再考を促したい。