エアアジア・ジャパン就航への課題とは - CEO交代の裏で起きていたこと
しかしその後、日本もLCC(低コスト航空会社)時代に入り、当局による事業審査の基準やプロセスに強度の変化が出てきた。
日本でも新興航空会社が立ち上がった時代、つまり、「AOC=就航開始」となっていた時代は、LCCに対して行われたような「リスク管理のための安全弁や補強措置を要求しつつも経営が重たくなることには一定程度配慮する」というような比較的シンプルな審査承認ではなかった。つまり、機体メーカーのマニュアルを踏襲するだけでなく、"JCAB(航空局)コスト"とも言われた審査現場前線での非常に厳しい詰問をクリアしなくてはならなかった。
LCC時代に入ってからはいったん、審査プロセスに緩和の変化が見られた。対象LCCであるピーチ・アビエーション(以下、ピーチ)、ジェットスター・ジャパン、エアアジア・ジャパンには全て、ANAまたはJALが生産体制面の支援をすることを言明し、整備・運航の折衝に長けた人材を送り込みもしていた。そのため当局としても、「大手の後押しがあるなら大丈夫だろう」という認識に立って行われたという側面がある。大手エアライン側からも、「今までのような仔細・厳格な審査が続けば就航に時間がかかりすぎ、LCCの経営に支障をきたす」