エアアジア・ジャパン就航への課題とは - CEO交代の裏で起きていたこと
○中部でピーチの成功を再現できるのか
一度、他社に目を移してみよう。国内LCCで成功を果たしているピーチを見てみると、早々にLCCターミナルを作り同社が関空をハブとして急速な拡大を行える環境を整えた関空運営会社の全社的支援体制、そして何より、その事業拡大を支え得た関西経済圏の"地力"という背景がある。
LCCが成り立つには、東南アジア各国のLCCが拠点とする都市と同様、「安い運賃が提供されれば、その事業計画を支えるに足る新規需要が創出される」ことが不可欠なのである。同時に、昨今の航空の成長を支えるインバウンド旅客を惹きつける要素があるかも決め手になる。関空で言えば、京都だけではない関西の観光資源のことである。
名古屋・中部圏にどれだけの新規需要が眠っているのか、また、エアアジア・ジャパンがそれを掘り起こせるのか。「LCCターミナルの建設」を言明したセントレアの支援、そして、中部経済圏の民力と吸引力が、エアアジア・ジャパンの浮沈を握っていると言えそうだ。
○筆者プロフィール: 武藤康史
航空ビジネスアドバイザー。
大手エアラインから独立してスターフライヤーを創業。30年以上におよぶ航空会社経験をもとに、業界の異端児とも呼ばれる独自の経営感覚で国内外のアビエーション関係のビジネス創造を手がける。