2016年2月1日 13:00
航空機の技術とメカニズムの裏側 (3) 航空機の構造(3)胴体の構造
前回は主翼の構造を取り上げたので、今回は胴体の構造を取り上げてみよう。ただし、機体の用途によってかなりの違いがあるので、まずは身近な輸送機の話から始めることにする。
○輸送機の胴体は茶筒である
ここでいう輸送機には、軍用輸送機と、いわゆる民航機(旅客機・貨物機の両方)を含む。要は、「大きな筒状の胴体内に人やモノを積む飛行機」である。
登山をする方なら御存じの通り、高度が上がると気圧や気温が下がる。そのままでは人が過ごすには具合が悪いので、機内は温度と圧力を高めて、特別の装備がなくても普通に過ごせる程度の環境を維持している。機内の気圧を高める操作あるいは仕組みのことを与圧という。
ところが、与圧をかけると機体の内外で圧力差が生じて、それに起因する負荷が胴体の構造部にかかってくることになる。
そこで、輸送機の動体は円筒形、あるいはそれに近い断面形状にするのが一般的だ。四角い断面形状にすると、角の部分に負荷が集中してしまうから、円筒形にする方が軽さと強度の両立という点から見て有利だ。
胴体の断面形状がどうなっているかは、旅客機に乗ってみれば容易に理解できる。外から見れば胴体断面が円筒形になっているのは一目瞭然だし、機内でも窓側の席に座っていると、側壁が湾曲している様子が分かる。