まるで「これは? これは?」と親に聞いてくる子供が、さまざまなものを覚えていくような動きだ。
ディープラーニングは画像認識のほか、自然言語解析や、いわゆるビッグデータのような莫大なデータの解析を得意としている。人間に並び、あるいは上回る精度で有意なデータを見出すことができるディープラーニングから得られる推測データは、人間が参考にするに十分な信頼性を持っている、あるいは人間の感性を超えた解答をもたらす可能性があるのだ。
たとえば米IBM社の人工知能「Watson」は、数十万のレシピを学習した結果、これまでになかった新しいレシピを「提案」するに至っている。
チェスや将棋の世界でも、ディープラーニングで過去の打ち筋を研究した対戦プログラムが、これまでの定石とは全く異なる新しい打ち筋を「発明」している。つまり、人工知能は人間と並ぶ、あるいは超える「知性」を持って、これまでの人類の知能が発見できなかった新しい知見にたどり着くことができる可能性を持っているわけだ。事実、製薬分野などでこれまでに見つかっていない新薬を人工知能が「発明」しているケースもある。これこそがディープラーニングがもたらした人工知能のブレイクスルーそのものだと言っていいだろう。