ANAがA380導入に踏み切ったわけ - ANAとスカイマークとの協業関係の現状
「座席あたりのコストが15%改善する」との説明もあったが、確かに機材が大きく(座席数が多く)なれば固定費を薄めることができるだろう。しかし、「飛行機は大きい方がいい」とされた1980年代の右肩上がり経済成長の時代の米国航空会社の発想とは、今や大きな変化を遂げている。原油高や紛争・テロなどの突発的な事態に適応し、航空会社は多様な市場に対応するため、飛行機のサイズを慎重に判断するようになったことで、「大は小を兼ねる」というような考え方はすでに廃れている。
○ホノルル路線に投入するメリット
世界を見てみると、スロット制約下の高重要路線や超ラグジュリー路線を持つ一部の会社を除けば、A380を導入するエアラインは非常に限られており(2016年2月現在、運航会社は13社のみ)、追加発注も得られていない。早晩、エアバスはA380の製造中止に踏み切るのではという見方も業界では少なくない。
これらを総合すると、今回の発表は2015年8月、スカイマークの債権者集会で支援会社となるためにエアバスに約束したとされる"手形"を正式なものに替える作業の仕上げ、と見るべきだろう。A380導入の経営へのインパクトを最小限に抑えられるのがホノルル路線だったということだ。