ANAがA380導入に踏み切ったわけ - ANAとスカイマークとの協業関係の現状
反して得たものはというと、現時点では「スカイマークをJALやデルタなど競合他社に渡さなかった」という一種観念的なベネフィットに尽きるように思われる。何より、支援権を得る上での最大の眼目とされた羽田発着枠の部分的獲得(コードシェア)は全くできなかった。イントレピッド社への「法的拘束性のない」LOI発行などの半ば強引な手順も見られ、ドタバタの末にさして得るもののないまま膠着(こうちゃく)状態に陥った現状は、一連の経営施策が奏功しなかったと言わざるをえないだろう。
○投資家の立場
一方、インテグラルはどうだろうか。機関投資家の最終ゴールは高付加価値のエグジットである。その意味では、航空会社の経営改善は投資家の利害と一致するはずだ。しかし、インテグラルが持つ株保有率50.1%のエグジットはそう単純ではない。会社の収益性がいいことと"高く売れる"ことは、今回のケースでは必ずしも一致しないからだ。
もちろん、エグジットの前段階に再び株式を公開する必要があるが、燃料費が格安なまま推移すれば当面安定的な収益計上を続けることは難しくはあるまい。IPOにこぎつけられれば「50.1%=経営権」を誰にどう売れば最大のリターンを得られるかは、インテグラルの裁量になる。